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NPOメディア|世界のがんばるNPOを訪ねて #04

「空腹」を、社会の声に変える。
トラッセル(イギリスのフードバンク網)

2026年5月13日|日本NPOサクセス 編集部

イギリスで「フードバンク」と言えば、多くの人がこの名前を挙げます。全国約1,700か所のフードバンク拠点を支えるネットワーク組織、トラッセル(Trussell)です。始まりは1997年、パディとキャロルのヘンダーソン夫妻が、キャロルの母ベティ・トラッセルさんの遺産をもとに立ち上げた小さなチャリティでした。

一本の電話から、国を覆うネットワークへ

当初の活動はブルガリアの子ども支援でした。転機は2000年。「子どもに食べさせるものがない」という地元の母親からの一本の電話を受け、夫妻は自分たちの住むソールズベリーの倉庫で、イギリス初のフードバンクを始めます。

その後トラッセルは、この仕組みを「型」として整え、各地の教会や地域団体が自分たちの町でフードバンクを立ち上げられるようにしました。いわば非営利版のフランチャイズです。ローカルの担い手が運営し、全国組織が仕組み・研修・データを支える。この設計によって、フードバンクはイギリス全土へ広がりました。

食料を配りながら、「配らなくていい社会」を求める

2024年4月からの1年間で、トラッセルのネットワークが届けた緊急食料パーセルは約290万個。うち100万個以上が子どものいる家庭向けでした。しかし、トラッセルが特別なのはこの数字ではありません。彼らは一貫して「私たちの目標は、フードバンクが必要なくなる社会」と言い続け、貧困の構造的な原因について調査を発表し、政府への政策提言を行っています。

目の前の緊急支援(食料)と、根本原因への働きかけ(提言)。この両輪を回し続ける姿勢が、トラッセルを単なる配布団体ではなく、社会を変える存在にしています。

学びたいのは「現場の型化と、データによる提言」

日本のNPOにとってのヒントは二つあります。一つは、うまくいった活動を「他の地域の誰かが再現できる型」に整えること。もう一つは、日々の活動で得られる現場のデータを積み上げ、行政や社会への提言につなげることです。支援の記録は、社会を動かす証拠になる——トラッセルはそれを体現しています。

団体プロフィール

  • 名称:トラッセル(Trussell/旧称 The Trussell Trust)
  • 本部:イギリス・ソールズベリー
  • 設立:1997年(創設者:パディ&キャロル・ヘンダーソン夫妻)
  • 分野:フードバンク網の支援・貧困問題の調査と政策提言
  • 公式サイト:https://www.trussell.org.uk/

出典:Trussell公式サイト(Latest stats)Wikipedia: The Trussell Trust(2026年5月閲覧)。本記事は公開情報をもとに当法人が独自に執筆したものです。個数・拠点数等の数値は閲覧時点の各公表資料によります。